協働ロボットBLOG

技術者・坂井のロボットシミュレーター「RoboDK」徹底活⽤術

第6回「RoboDKを利用したリスクアセスメント」

By 協働ロボット.com 運営担当

「技術者・坂井のロボットシミュレーター徹底活用術」と題して、私、IDECファクトリーソリューションズ、ロボットシステム部の坂井が、ロボットシミュレーターの必要性や弊社が販売代理店を務め私自身も使用しているロボットシミュレーターRoboDKについて、解説してまいります。第6回目は、「RoboDKを利用したリスクアセスメント」と題して、協働ロボットシステムの構築において必須となるリスクアセスメントを効果的に実施する手法をご紹介いたします。

1.RoboDKの活用により生産性向上

本ブログシリーズ第5回「RoboDKを導入して、できるようになったこと」(https://www.kyodo-robot.com/blog_robodk/202008-robodk5-0)でご紹介したとおり、RoboDKの導入は、仕様調整→構想→設計→設備製作→ティーチング→検証/デバッグ→現地調整といった、ロボットをインテグレーションする作業プロセスの生産性を大幅に向上させました。

リスクアセスメントのフェーズでも、RoboDKを活用することにより、設計時のリスクアセスメント、衝突位置の抽出といった作業プロセスの生産性を向上させています。


それでは具体的に何がどのように変化したのか、次項より具体的にご説明していきたいと思います。

 

2.ロボットシステムの標準作業プロセス

弊社では、ロボットシステム設計開発作業において、以下のように標準作業プロセスを定義し、マネジメントしています。前述のとおり、この標準プロセスの各工程で適宜シミューションの活用を推進しています。

標準作業プロセスのうち、リスクアセスメントは、「設計フェーズ」、「製造フェーズ」で実施しています。

なお、「テストフェーズ(納入・現地調整・ユーザテスト)」においてもリスクアセスメントは必要になります。この工程での管理はお客様責任となるため、弊社はお客様のリスクアセスメントをご支援する立場となります。

ロボットシステム構築プロセス

ロボットシステム 標準作業プロセス

 

(1)設計フェーズ

リスクアセスメントのフェーズでは、危険源の同定、特にロボットの動作による挟まれ位置の抽出にもRoboDKを活用することができます。

RoboDKを活用した場合、設計段階でロボットの動作稼働領域を考慮したレイアウト設計イメージが完成しているため、設計段階でシミュレーションを活用したリスクアセスメントが可能となりました。

従来、設計段階のリスクアセスメントでは、2D、3Dの図面を参考にし、ロボットの動作は頭の中でイメージして保管し、「ここは、ロボットと人の手が衝突する」「ここは人の手が挟まれる可能性があるかも」、と想像することでレビューを実施していました。
RoboDKを活用して、動作シミュレーションを作動させながら、衝突ポイントを可視化できるため、レビューにおいても危険源の認識を共有することができるようになりました。また、人の想像では気づけない危険ポイントを抽出できることもプラスになっています。


挟まれ位置を抽出した時の例

挟まれ位置を抽出した時の例

 

リスクアセスメントおいて、「危険源の同定」プロセスは最も重要プロセスと言えます。重大な危険源を見落とすとリスク低減方策が全く行われないまま危険な状態で機械を運転してしまうことに繋がります。重大な事故を招くわけです。

リスクアセスメントの精度を上げる意味でも、設計段階から、シミュレーションにより衝突ポイントを確認しながら、危険源の同定作業を実施できる点はとても役立っております。

また、可視化によりユーザともイメージを共有できるため、必要な安全方策を調整する上でも理解を得やすいというメリットもあります。

 

(2)製造フェーズ

弊社では、装置製造後の動作検証フェーズで、実運用に合わせて、リスクアセスメントを実施しています。

設計フェーズで抽出したリスクに関して、処置が正しく反映されているかを確認します。また、新たに発生した危険源はないかチェックし、危険源を発見すればリスク低減方策を実施します。

お客様の立会において、設計フェーズでシミュレーションにより動作等を把握いただけているため、スムーズに立会検査を進めることができています。これもシミュレーションソフト活用の効果だと感じています。

3.リスアセスメント支援サービスの提供を開始

リスクアセスメントの実施にあたって、「専門知識のある人が社内にいない」、「リスクアセスメントにおける社内ルールがない」、「時間と手間がかかり過ぎる」といった課題があり、協働ロボット導入の障害となっているケースをお客様からお聞きします。

そこで、弊社ではRoboDK を導入いただき、シミュレーションを作成いただいた案件に対して、リスクアセスメントシート作成などを支援する「リスクアセスメント支援サービス」の提供を開始いたしました。

具体的には、RoboDKで作成したシミュレーションを共有しながら、「危険源の同定」「リスクの評価」をサポート。安全方策に関してもアドバイスをいたします。また安全方策の妥当性評価、技術ファイル、適合宣言書の作成についても適時ご支援をいたします。

※RoboDK を導入いただき、なおかつ RoboDK を使ってシミュレーションを作成いただいた案件に限ります。


RA支援サービス-1

リスクアセスメント支援サービス概要

 

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第6回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

本ブログシリーズは今回で最終回となります。

これまでお付き合いいただきありがとうございました。
引き続き皆様のお役に立てるよう情報発信に努めて参りますので、よろしくお願いいたします。

ブログカテゴリ: ロボットシミュレーター「RoboDK」徹底活用術

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