人手不足の解消や生産性の向上に加え、これまで経験したことのない、新たな問題が立ちはだかることになりました。新型コロナウィルス感染症対策です。
2020年冒頭。中国武漢に端を発し、瞬く間に世界中に拡散した新型コロナウィルス(COVID-19)により、私たちは人との接触や対面、つながりにおける変化を経験しました。そして、その不安とリスクは、身の回りでの日々の生活はもちろん、産業、経済、社会全般に新たな変化を求めることになったのです。
少し、日本国内の変化を時系列で振り返ってみます。
官邸は2020年3月18日のツイッターで、以下のような「3つの『密』を避けて外出しましょう」と国民に呼びかけました。
3つの密を避けましょう。
そして、2020年3月13日には、新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立、それを受けて、2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大しました。
その後、感染者数が少し落ち着いた頃、厚生労働省が発表したのが、コロナ禍における新しい生活様式です。
ご覧頂けばおわかりになる通り、感染防止の3つの基本として、真っ先に掲げられているのが、身体的距離の確保、具体的にいえば、人との間隔を「出来るだけ2m」にする、です。
新しい生活様式は、製造現場のあり方についても、大きな変革を求めています。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、少人数制の交代勤務を採用している製造現場もありますが、あくまで一時的な措置であり、長期化が予測されるコロナ禍においては、生産体制を維持し、減産しないマネジメントが求められてくることは間違いありません。
その重要なポイントになるのが、人と人の接触を避けても生産性を落とさない製造現場の再構築です。
コロナ禍では、これまでのように人と人が密接した製造ラインは現実的でなくなり、人と人が一定の距離を保つ製造ラインの構築が前提となります。それゆえ、今日まで長く続いた、いわゆる「労働集約的」な作業は難しくなりました。その流れにおいては、人的労力に頼る生産体制はすでに限界を迎えています。
今、製造現場のマネジメントには、労働集約作業を排除しこれまで同様の生産性を確保できる、新たな工夫が求められているのです。
それでは、これからの時代の非接触の生産体制をどのように構築すればよいのでしょうか?
その重要な鍵を握るのが協働ロボットです。
例えば、人と人が密接する食品などの製造ラインでは、人、協働ロボット、人、というような、人とロボットが協働する製造ラインを構築すれば、自ずと人と人は離れた距離を保たれることになります。
また、これまで人から人へ手渡しで荷物を運んでいた工程間に自動搬送ロボットを導入すれば、人と人の接触は自ずと避けられます。
コロナ禍での生産を維持するためのこうしたアイデアは、まだまだ未開拓であり、さまざまな工程で、試行錯誤が展開されているのが、今この時なのかもしれません。
人と機械が協働する自動化環境の構築。経営者は新型コロナウィルスが収束するのをただ待つのではなく、コロナ禍だからこそ、打つべき手があるのではないでしょうか。それが何より社員の安全・安心のためであり、この苦境を乗り越えるために果敢にチャレンジすべきこと、そんな風に思います。