産業用ロボットが生産設備に導入され、危険な作業は人が担ってきました。その一方で、パワーもスピードもあるロボット自体が危険源のひとつであり、機械は人から隔離されて運用されてきたのです。しかし近年、人との協働作業に対応する安全機能を実装した「協働ロボット」が開発されました。これにより完全に隔離されることなく、協働作業空間で人とロボットの協働作業が可能となりました。
しかしながら、これまでの安全対策の考え方では、協働ロボットのアプリケーションが制約されたり、パフォーマンスの低下につながることから、協働作業空間の安全性を確保しつつ生産性の向上を目指すためには、視点を変え、協働ロボットの特性を活かした新たな安全方策が求められるようになったのです。
新たな安全方策のカギを握るのは「協調安全」という考え方です。
日本政府が提唱するロボット革命を実現するためには、協働ロボットの機能を活かし、協働作業空間のみならず、それぞれの作業空間でも人とロボットが「協調」しながら稼働するという概念が必要となります。
たとえば、「人の接近に応じたロボットの速度制御」「ロボットとの接触を受け入れられる制御」などです。
これこそが「協調安全」という概念なのです。
同時に、適切な安全対策を実施するためには、適切なリスクアセスメントも必要不可欠です。