「技術者・坂井のロボットシミュレーター徹底活用術」と題して、私、IDECファクトリーソリューションズ、ロボットシステム部の坂井が、ロボットシミュレーターの必要性や弊社が販売代理店を務め私自身も使用しているロボットシミュレーターRoboDKについて、解説してまいります。これから、よろしくお願いいたします。
第2回目は、協働ロボットにおけるロボットシミュレーターの存在、そしてロボットシミュレーター「RoboDK」との出会いについて、話を進めてまいります。
協働ロボットの多くには標準シミュレーションソフトが存在しないという現実。
協働ロボット(ユニバーサルロボット)のティーチング風景
親会社であるIDEC 株式会社の福崎⼯場への協働ロボット導⼊で、ロボットシミュレーターの必要性を痛感した私は、今後の協働ロボットシステム構築に役⽴てるべく、世に出回っているロボットシミュレーターについて調べることにしました。
その結果、まずわかったのが、産業⽤ロボットメーカーは当たり前のように専用のロボットシミュレーションソフトを提供しているのに対し、協働ロボットメーカーの多くはシミュレーションソフトを提供しないということです。
なぜでしょうか?
調べてみると、おおよそ次のようなことがわかりました。
協働ロボットのメーカーの多くはスタートアップのベンチャー企業のため、ビジネスをよりシンプルに、より簡単にしていこうという意識が強いようです。
加えて、協働ロボットは複雑なプログラムやセットアップを必要とせず、ロボットに慣れていない現場の方でも容易に使えるように設計されています。
そのために、現場にロボットを持ち込み実際に動かしながら調整を⾏うという、徹底的な現場主義を取っている企業が多いようです。
そのような状況でシミュレーターまでを必要としていない、そんなことがわかりました。もちろん、スタートアップのベンチャー企業ゆえに、シミュレーターを開発する資⾦的な余裕がないことも理由のひとつであることは想像に難くないですが・・・。
ただ、私たちのような、お客様の協働ロボットシステムの構築を⽀援するシステムインテグレータの⽴場となると話は少し違ってきます。
そもそもお客様が希望しているシステムの構築が可能かどうかの検証、稼働時に安全が担保されるかどうかの評価(リスクアセスメント)などが前段階として必要です。
さらに、協働ロボットを現場に持ち込んだ際にうまく作動できず再度持ち帰るとなれば、採算的に⼤きな損失につながりかねません。
従って、できるだけ⼿戻りが⽣じないよう、事前に⼊念にシミュレーションを⾏うことが必要不可⽋になってきます。
ロボットシミュレーションソフトの認識を変えたRoboDK との出会い。
以前からロボットシミュレーターの必要性は感じていたものの、高価なイメージがありました。ロボットシミュレーターを提供しているメーカーについて調べを進めていくと、オクトパスはじめ、すでに定番となっているロボットシミュレーターがいくつか⾒つかりました。が、いずれも価格が⾼いなどの問題点がありました。
Coro研究所のあるカナダのETS大学
そんなある⽇、Linkedin で偶然⾒つけたのが、カナダの「RoboDK」という会社が開発したロボットシミュレーションソフトです。
⼊⼿した情報では、複数のロボットメーカーに対応している点、自作のハンドシミュレーションに組み込める等といった汎用性が高い点など、⾼機能であるにもかかわらず、低価格であることにまず驚かされました。
これはと思い、「RoboDK」について詳しく調べてみることにしました。
「RoboDK」はカナダ最⼤のロボット研究室のひとつ、ETS ⼤学のCoRo 研究所のスピンオフとして誕⽣した会社で、2015 年に設⽴されたばかりの若い会社ということがわかりました。CoRo 研究所には多くの産業⽤ロボットが装備されており、その活動は応⽤研究に集中しており、カナダで最も権威のあるロボット⼯学ラボのひとつとなっているとのことです。
技術的にもバックボーン的にも「RoboDK」は問題がなさそうだと確信、試しにLinkedin からメッセージを送ってみると、会社的にもウエルカムな感じで好意的な印象でした。その第⼀印象は間違っておらず、その後も良好な関係は続き、製品を使⽤するユーザーの⽴場だけでなく、⽇本市場での販売代理店の契約へとトントン拍⼦に話が進んでいったのです。
付き合い始めた当初、「RoboDK」は知る⼈ぞ知るソフトでしたが、以降急速に成⻑し、今ではスタートアップから世界最⼤の企業まで、あらゆる規模の企業で使⽤されています。
startus INSIGHT
その結果、最先端のロボットソリューションに取り組んでいる企業の新テクノロジーを調査・分析しているstartus INSIGHTSでは、世界中のロボット動作ソフトウェアのスタートアップ企業181社中のTOP5にランクインしました。
第2回は以上です。最後までお付き合い、ありがとうございました。次回第3回では、ロボットシミュレーター「RoboDK」とはどんなソフトなのか、⾃社に「RoboDK」を導⼊したことで可能になったこと、などについて解説します。引き続きよろしくお願いいたします。