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今だから考えたい「協働ロボットと安全」 第7回:その協働ロボットシステムは安全ですか?

By 協働ロボット.com 運営担当

協働ロボットBLOG、「協働ロボットと安全」を担当する鈴木です。しばらくお休みしていましたが、より内容を充実し、再開いたします。第7回は「その協働ロボットシステムは安全ですか?」と題して、協働ロボット導入現場の実態を検証してみたいと思います。最後までお付き合いください。


第7回:その協働ロボットシステムは安全ですか?


1.協働ロボット導入現場の実態

 「協働ロボットは操作が簡単」「協働ロボットは衝突検知機能があり安全」「協働ロボットは安全柵不要」という便利さのみを訴求するPRを目にすることはないでしょうか?

 その結果、多くの人の間で、協働ロボットは衝突しても停止する、第三者認証機関の認証を受けたロボットを使っていれば安全、ロボットが安全性を担保する、そんな考え方が広がっているように感じます。

 しかし、それは大いなる誤解であることを最初にお伝えしたいと思います。

協働ロボットJAKA

 

 協働ロボットの操作は、従来の産業用ロボットに比べますと、ユーザインタフェースも刷新され、確かにかなり簡単になっています。

 弊社でもユーザ向けトレーニングを実施していますが、数時間のトレーニングで、ワークのピッキング&プレースを行うプログラミングができてしまいます。

 またダイレクトティーチングなど直感的に操作できる機能もあり、教示作業も従来の産業用ロボットにくらべると格段に簡単になっています。

 見た目的にも、ロボットアームも小型なものが多く、デザインもソフトなため怖さを感じにくく、協働ロボットは安全だという印象を強く与えているようです。

 確かにメーカーにしてみれば、ロボット導入を推進するためには、簡単に使える機能性、使ってみたいと思わせるデザイン性はとても重要な要素でしょう。

 実際そんなアプローチが功を奏してか、産業用ロボットを導入するユーザが増え、初めての使用する産業用ロボットに「協働ロボット」を選択するユーザがこのところ急激に増えてきていることは事実です。

 ただし普及が進む一方で、システム構築費用を抑えるためか、システムインテグレータを介さず、ロボット代理店から購入し、自分たちで手探りしながらシステム構築するパターンも多くみられるようになりました。

 実際にそのようなユーザから、弊社にもロボットシステムに関する相談があり、現場を訪問する機会も増えています。その訪問時に、既設の協働ロボットシステムを目にする機会も増えていますが、システム全体の安全が担保されていないケースが思いのほか多くあります。

 特に多いのが、次のような「安全面の考慮」が足りていないと感じるケースです。

  • 人が作業するすぐ横で、高速な動作でパレタイジングするケース。
    人がロボットの動作エリア内に入ってもロボットは減速、停止せず動作し続けている。
  • 人の横で、速度は速くないが、人の顔の高さで動作するケース。
    同じく、人がロボットの動作エリアに入っても減速、停止などの制御はしていない。
    作業者がゴーグルなどの保護具を付けてない。

 協働ロボットを使用しているから、安全が確保されていると誤解していることから生じているケースです。

 また、ロボットの使い方のトレーニングは受けているが、安全衛生教育を受けていないユーザが、教示作業を実施しているケースにも遭遇します。協働ロボットも産業用ロボットですから、労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第36条第31号及び第32号にもとづく産業用ロボット教示・検査等特別教育を受講が義務付けられています。

 システムインテグレータへシステム構築は依頼しなくても、せめて次に記すような安全方策を正しく指導できる代理店もしくシステムインテグレータからロボットを購入してほしいものです。

 

2.協働ロボットシステムの安全を確保するために

 協働ロボットを安全柵なしで設置し利用するためには、ロボットシステム全体でリスクアセスメントを実施し、必要な安全方策を講じることが法令で定められています。

 人と作業範囲を共有し、ロボットとの協調作業による効率化を目的としてシステムを構築する場合、人の安全確保が最優先される必要があります。そのためには、使用するロボットが提供する安全機能の理解、ロボットの特徴に合わせた安全方策を検討できる高度な技術が求められます。 

 実際に現場の声を聞くと、リスクアセスメントに関して、「難しい」「複雑」「何をしたら良いか、よくわからない」等があがります。

 そのために私たちのようなシステムインテグレータが存在すると言っても過言ではありません。

 本連載シリーズでは今後、このような現場の声にお応えするために、安全方策の考え方を、プロフェッショナルの立場から具体的事例を取り上げてご紹介していきます。

 

 次回は、「人協働ロボットを導入するには? 導入ステップのご紹介」と題して、安全確保の考え方にも触れながら、協働ロボットを効果的に活用するための考え方について深堀していきたいと思います。

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