協働ロボットBLOG、「協働ロボットと安全」を担当する鈴木です。今回は第2回:リスクアセスメントについてです。
第2回:リスクアセスメントとは?
リスクアセスメントという言葉をご存知でしょうか?
リスクアセスメントとは「危険性や有害性を調査すること」、つまり、危険性を特定し、その対策を検討・実施することです。
なぜ、リスクアセスメントが重要か?
労働安全衛生法(二十八条の二)においてはリスクアセスメントの実施が努力義務として定められています。特に現代においては多様な設備、物質が使用されており、それに応じて危険性・有害性も多様化していますので、何がリスクとなるのか、その見極めと優先度の選定、そして対策を行うことが大切となってきます。
特に協働ロボットが安全柵なしで働くためには、その安全性を高度なレベルで確保させることが必要となってまいります。
リスクアセスメントの手順
リスクアセスメントは以下の手順で行われます。
(1)機械類の制限の決定
機械の使用上の範囲の決定、設置環境の限定、時間的限定など仕様を決定します。
(2)危険源の同定
どんな危険源が潜んでいるか、(1)で特定した範囲において、危険源を同定し、明らかにします。
同定とは、ある対象についてそのものに関わる既存の分野から、帰属先を探す行為のことを言います。
ISO12100では危険源リストが記載されており、当該箇所についてその危険があるかどうかをその危険源リストと照らし合わせながら探していきますので、「特定」や「抽出」ではなく、「同定」と呼んでいます。
この段階で、ある危険源が特定されなければ、以後のリスクの見積り/評価の対象にならず、潜在的に危険源が残った状態となり将来の災害の原因となります。したがって、危険源をもれなく同定することは非常に重要です。
(3)リスクの見積もり
(2)で同定した危険源の全てに対して、個々にリスクを見積ります。
リスクは同定された危険源で被災した場合の「危害のひどさ」とそれが発生する「危害の発生確率」の組合せで、リスクの大小を見積ります。
(4)リスクの評価
リスク見積りの結果に基づいて、リスク低減処置が必要かどうかを決定するためにリスクの評価を行います。
リスク低減が必要と評価された場合には、リスク低減方策を適用します。
リスク低減の最終的な妥当性は、リスク低減方策の3−ステップメソッドをすべて適用した後で検証します。
リスク低減により、安全性がクリアになってはじめて、人とロボットの作業領域が分断されることなく、協調・協働でき、稼働率のアップや「見える化」が可能になるのです。
次回は、ロボットシステム安全化の考え方についてご紹介します。