協働ロボット.com 運営担当です。
深刻化する人手不足を背景に、製造現場では省人化・自動化に向けた設備投資の機運がますます高まっています。とはいえ、ロボットなどの設備投資には相応のコストがかかるため、「導入したいけれど、二の足を踏んでいる」という経営者や現場責任者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、設備投資にかかる法人税・所得税の負担を軽減できる「中小企業経営強化税制」について、制度の概要から対象設備の要件、証明書取得までの流れをわかりやすく解説します。ロボット導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
1. 人手不足対策の設備投資を後押しする税制
2. 税制措置の内容
3. 対象となる設備の要件
4. 税制措置を受けるまでの流れ
5. 製造現場での活用イメージ
6. まとめ
1. 人手不足対策の設備投資を後押しする税制
「中小企業経営強化税制」は、中小企業等経営強化法に基づき「経営力向上計画」の認定を受けた事業者が、設備投資にあたって即時償却または税額控除を選択適用できる制度です。適用期間は2027年(令和9年)3月31日〈令和8年度末〉までとされています。
対象となるのは、資本金1億円以下の法人、常時使用する従業員1,000人以下の法人・個人事業主、協同組合等です。対象区分の一つである「生産性向上設備(A類型)」は、旧モデル比で生産性を示す指標が年平均1%以上向上する設備が対象になります。制度の詳細な要件・金額・適用期限は年度や回次によって変わるため、実際の適用にあたっては必ず最新の公式情報をご確認ください。
2. 税制措置の内容
資本金の額に応じて、選択できる措置は次のように分かれます。
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資本金区分 |
選択できる措置 |
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3,000万円以下の法人 |
即時償却 または 取得価額10%の税額控除 |
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3,000万円超〜1億円以下の法人 |
即時償却 または 取得価額7%の税額控除 |
個人事業主の場合は所得税が対象です。税額控除には上限などの要件もあるため、こちらも最新の公式情報でご確認いただくことをおすすめします。
3. 対象となる設備の要件
生産性向上設備として認められるには、主に次の要件を満たす必要があります。
- 生産性を示す指標(単位時間当たり生産量、歩留まり率、投入コスト削減率のいずれか)が、旧モデル比で年平均1%以上向上していること
- 一定期間内に販売された設備であること(機械及び装置は10年以内、器具及び備品は6年以内)
- 最低取得価格を満たすこと(機械及び装置は160万円以上、器具及び備品は30万円以上)
- 生産等設備を構成するものであり、国内への投資であること。中古資産・貸付資産でないこと
日本ロボット工業会(JARA)が対象とする設備は、産業用ロボット・電子部品実装設備、および器具及び備品のうちロボットに関するものに限られます。協働ロボットも対象設備に含まれ得るため、導入を検討する際は早めに要件を確認しておくと安心です。

4. 税制措置を受けるまでの流れ
制度の適用には、大きく2つの手続きがあります。
① 経営力向上計画の認定申請
「経営力向上計画」とは、人材育成やコスト管理などのマネジメント改善、設備投資といった、自社の経営力を高めるための取り組みをまとめた計画です。中小企業等経営強化法に基づきこの計画を策定し、事業分野ごとの主務大臣(経済産業局や業所管省庁など)の認定を受けることで、今回ご紹介した税制措置に加えて、低利融資や信用保証といった金融支援、許認可の承継に関する特例などの法的支援もあわせて受けられるようになります。
計画の策定にあたっては、まず自社が「日本標準産業分類」のどの事業分野に該当するかを確認し、その分野ごとに定められた指針(分野別の指針がない場合は基本方針)に沿って、現状の課題や経営力向上の目標、具体的な取り組み内容を記載していきます。申請先は事業分野によって異なり、経済産業局が窓口になるケースが多いものの、中小企業庁は申請の受付を行っていない点に注意が必要です。
申請は「経営力向上計画申請プラットフォーム」からの電子申請にも対応しており(GビズIDプライムが必要)、経済産業部局宛ての場合は標準処理期間が短縮されるなどのメリットがあります。対象設備は、原則としてこの計画の認定を受けた後に取得する必要があるため、設備投資のスケジュールを立てる際は、認定にかかる期間も見込んで早めに準備を進めることが大切です。計画の記載内容や提出方法に不安がある場合は、商工会議所・商工会や金融機関、税理士などの認定経営革新等支援機関に相談しながら進めるのが一般的です。
計画の記載事項や手続きの流れについては、中小企業庁が公開している「経営力向上計画策定の手引き」に詳しくまとめられています。
詳しくはこちら:経営力向上計画策定の手引き(中小企業庁)
② 生産性向上要件証明書の取得
対象設備が生産性向上の要件を満たしていることを証明する「生産性向上要件証明書」を、設備メーカーを通じて工業会等(産業用ロボットの場合は日本ロボット工業会)に発行申請します。証明書の発行には数日〜2カ月程度かかるため、設備の取得前に余裕を持って申請することが必要です。
税制措置の対象となるのはロボット単体ではなく、それを組み込んだ製造設備です。当社が販売代理店を務めるROKAE協働ロボットを活用した製造設備については、当社からの依頼で協働ロボットの製造元であるROKAE精機(日本ロボット工業会 非会員)が「生産性向上要件証明書」の発行申請を行います。証明書の発行手数料は、非会員料金として1通につき5,000円(税込)が必要です(会員区分によって金額が異なるため、詳細は日本ロボット工業会の公式情報をご確認ください)。
詳しくはこちら:生産性向上要件証明書発行手続(日本ロボット工業会)
5. 製造現場での活用イメージ
実際の製造現場では、設備投資の負担を抑えながら生産性を高めたいというニーズから、こうした税制措置の活用を検討するケースが増えています。パレタイジングや搬送、マシンテンディングといった定型作業へのロボット導入は、生産性向上要件を満たしやすい代表的な活用例のひとつです。
人手不足や技術承継といった製造現場の構造的な課題については、連載ブログ「経営者のための製造現場再生の処方箋」でも詳しく取り上げています。あわせてご覧ください。
ブログ記事はこちら:経営者のための製造現場再生の処方箋
6. まとめ
人手不足の解消に向けたロボット導入は、初期投資の負担が導入の障壁になりがちです。「中小企業経営強化税制」のような税制優遇措置をうまく活用すれば、その負担を軽減しながら生産性向上を図ることができます。
- 対象は資本金1億円以下の法人等、生産性が年平均1%以上向上する設備が要件
- 税額控除(7〜10%)または即時償却を選択適用可能(適用期限:2027年3月31日)
- 証明書取得や経営力向上計画の認定など、事前の手続きに時間がかかる点に注意
制度の数値や期限は年度によって変わるため、実際の適用にあたっては必ず最新の公式情報をご確認ください。ロボット導入や対象設備の選定でお困りごとやお悩みがありましたら、当社にお気軽にご相談頂けますと幸いです。











