AMR（自律走行搬送ロボット モバイルロボットとほぼ同義）は様々な現場の搬送作業自動化で活躍する、次世代のAGVともいわれています。
しかしながら、その効果的な活用のためには、用途に合ったトップモジュール選定が鍵を握っていることはあまり議論されていません。AMRとトップモジュールの併用により、さまざまなアプリケーションに対応することが可能です。
本ブログシリーズでは、これまでのブログシリーズで今後の加速度的な普及を予想したAMR、そのAMRと用途に応じた最適なトップモジュールの組み合わせによるさまざまなソリューション、実際の導入事例など、当社が販売代理店を務めるAMR、MiRとともに多角的にご紹介していきます。
リフトソリューション
第５回目となる今回は、自動リフトアップ機構を持ち、パレットや重量物の搬送に最適なシステムソリューション、リフトトップモジュールについてご紹介いたします。
フォークリフトやハンドパレットの代替として使用できるメリット
このトップモジュールは、フォークリフトやハンドパレットの代替として、主に重量物の搬送が必要な現場で採用されています。トラックへの荷積み・荷下ろしはフォークリフト、倉庫内への搬送はリフトを搭載したAMRといったように分業している現場もあります。
また、製造現場においては、ラインの最後から倉庫へ完成品を搬送する際にも用いられることがあります。
パレットの運搬の他、カートに潜り込み、リフターでカートを持ち上げ、カートごと搬送する形で運用されるケースも存在します。
導入にあたっての課題と解決方法
パレットなどの重量物を搬送するため、荷の受渡しの際のリスク評価、荷の安定性が特に重要になります。
ISO3691-4には、荷役の落下防止（4.5）、牽引する車両(4.10)、コンベア付き車両（4.17）に関する要求が記載されています。
トップモジュールの設計はこれらに基づいていることはもちろんのこと、これらの要求に基づいて設備側での荷の受渡し場所の安全対策、AMR運用に関する区域の決定も必要になります。
・荷の受け渡しや移送中の荷の落下による人との衝突
・荷の受け渡し場所での人検知装置無効化によるAMRとの接触
・重量増加による停止性能の低下から引き起こされる停止距離の増加
・トップモジュールの可動部への挟まれや巻き込み
そのため、AMRを導入する環境がどのような場所なのか、どういった運用をするのかなど、十分な検討を行った上でシステムを構築することが必要になります。
リフトソリューション導入事例
それでは具体的にどのような現場で活用されているか、ご紹介します。
・リフトトップモジュール付きAMRで、工場内搬送を自動化
5台のリフトトップモジュール付きAMRの導入により、染色工場内の工場内搬送を自動化した事例です。
これまでは有人フォークリフトを使用して90トンの布地を生産現場に輸送していましたが、AMRの導入により輸送作業の自動化を実現しただけでなく、1日あたりの最大搬送量を200トンまで増加させました。
・フォークリフト＋パレットの人的作業をリフトトップモジュール付きAMRで代替、自動化
製薬会社の医薬品工場内の倉庫ロジスティクスを5台のMiR500自律移動ロボット（AMR）により改善した事例です。
以前は、有人フォークリフトによって梱包材を載せたパレットを倉庫内に輸送し、そこで専用のフォークトラックがパレットを持ち上げて大型のラックに格納していました。
AMRの導入により、少なくとも週の労働時間のうち35時間が節約され、人はより価値の高い活動に集中できるようになりました。
「リフトトップモジュール」を使用したAMRシステムソリューション、いかがでしたでしょうか。今後も引き続きAMRの様々なシステムソリューションにつきましてご紹介してまいります。
本ブログをお読みいただき、AMRに関して、もしくはAMRに最適なトップモジュールに関してお悩みの方はお気軽にご相談ください。
それではまた次回。引き続き、よろしくお願いします。
