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協働ロボット・フロントライン

〜協働ロボットのキープレーヤーに聞く〜

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特集 導入企業編 第1回

株式会社明和 代表取締役社長 兵藤義房 様

今はまだできないことが多くコストも見合わない。
けれど、経営者に求められるのは未来への視点。

Q:ロボットを自動化に活用するポイントはなんでしょうか。

 ロボットはものを置くような単純作業は得意です。反面、組み立てのような少し複雑な作業になると当然のように失敗します。だからこそ、失敗したらもう一回やり直す、「リトライ」です。できなければできるまでリトライを繰り返すことが重要なポイントです。

 ロボットだからと言って万能ではありません、ワークの個体差もあります。ですので、失敗することは当たり前でそれを乗り越えいかに成功に導くか、これまでずっと考えてやってきました。どうやったら止まらずに無人で動かせるか。当社はオペレータもいませんし、できれば夜勤もやりたくありません。かつて夜中の2時、3時に機械が止まるとポケベルで呼ばれる、そんな時代がありました。止まったロボットをもう一度動かすためだけに夜中に社員が出社するのです。それが嫌だったら止まらないようにしよう。それがリトライの始まりでした。辛抱強くリトライを重ねていくことで、停止率はかなり下げることができました。

Q:今後の自動化の構想について、お聞かせください。

 いろいろな工程がまだ自動化できず残っています。たとえば溶接の一部は自動化できているものの、まだまだ汎用溶接のところはできていません。先ほども申し上げたように、ロボットは繰り返しの単純作業は得意ですが、職人が行うような熟練を要する作業はまだまだです。溶接はプログラムが結構大変です。火を扱う作業で危険が伴うため、慎重にやらないといけない、また単純な直線の溶接ならいいのですが、カーブのある溶接になると難易度が一気に上がります。

 溶接のニーズはあるのにもかかわらず、世の中から溶接職人がどんどんいなくなっていますので、そこは急がないといけないのかもしれません。当社には溶接職人はいませんが、ロボットでコントロールすることには慣れてきているので、センサとかを使いながら、職人と同様の動きをロボットでコントロールできるよう、取り組んでいるところです。

 また先にも申し上げた組み立ての自動化は、まだまだ取り組んでいる会社が少ないと思います。ですので、ここを自社の強みとして伸ばしていきたいと考えています。一方、当社としては全自動を目指しているものの、コストパフォーマンスを考えるとまだまだ全自動は難しい、それが正直なところです。ロボットによる完全自動化は、今の時点では採算には合いません。人手で作業した方が何倍も早いからです。

 コスト面だけで考えれば、そう言った工程には今後も人手作業が残ります。ですが、本質的な問題は働く人がいないということ。働く人がいないのに作業が残ったら誰がやるのか?人件費が今の5倍も上がったら、ロボットの方が絶対に安くなるでしょう。ロボットであれば24時間動かせるし、そう考えると自動化したほうが勝ちではないでしょうか。今は無理でも将来は必ず必要になってくる、経営者としてはそこを見据えています。

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Universal Robotsと兵藤社長

Q:最後になりますが、これから協働ロボット導⼊を進めようと考えている企業に向けてのメッセージがありましたら、お聞かせください。

 とにかくチャレンジあるのみです。繰り返しになりますが、働く人がどんどん減っていく状況で、その上、技術を持った職人が技術を承継しないままどんどん引退を迎えているのが実情です。そんな世の中で、中小製造業はどうやって生き残ることができるのでしょうか。現状ではロボットより人手で行った方がコストに見合う作業がほとんどですが、ロボットの進化のスピードは予想以上に速く、今までできなかったことが、どんどんできるようになってきています。ですので、大切なのは現時点でコストに見合わないからやめよう、ではなく、将来を見据えて課題解決のために投資をしていく視点ではないでしょうか。

 ロボット等高価な設備では費用対効果が出ない工程など、分かっていてもできない自動化を進めるには、自社の枠を超えて多くの技術やアイデアのある会社様と協力し、切磋琢磨しないと、成功はないと考えています。

 当社は即利益を求める大手企業ではなく、地道に技術、技能を蓄積し将来の人手不足に報いたいと考えることに賛同していただける中小企業の皆様を探しています。もし一緒にやってみようと賛同していただける方がいれば、ぜひお声掛けください。

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明和 兵頭様、IDECFS担当営業 赤塚

取材を終えて

 今回の取材で兵藤社長に案内され協働ロボットによる組立自動化システムを初めて見た時の感想は「凄い!」「ここまでやる?」だった。とにかく初見のインパクトが大きすぎ、それ以上の言葉が出てこなかった。

 正直、実際に製造工程へ導入されるまでには、超えなければならないハードルがまだいくつもあるだろう。 だからと言って「まだまだ自動化は無理」と結論づけるのは、経営者としては早計過ぎる。学ぶべきは、可能になるまで挑戦し続ける強い思いと取組みの姿勢ではないだろうか。

 メーカーの話では、明和がROBOTIQのネジ締めソリューションをアジア地域で初めて導入した企業だそうだ。その進取の精神も協働ロボット活用に求められる資質なのかもしれない。

 協働ロボットを導入したものの上手く使いこなせず、今は倉庫の隅に置かれたままという企業もあるという。そんな企業の経営者には、この先の人手不足を見越した兵藤社長の話は参考にできる点が多いのではないか、そう感じた次第である。

会社情報

株式会社明和
住所
本社 〒444-1213 愛知県安城市東端町新切8
代表者名
代表取締役社長 兵藤義房
事業内容
電子組付機器のパーツ供給用テープフィーダ製造
精密金属加工(板金・プレス・切削)部品の製造
プレス金型・加工治具・検査治具の設計及び製造
TEL:0566-92-1880
URL

https://www.meiwainc.co.jp

導入製品

ROBOTIQ ネジ締めソリューション

  • ネジ締めソリューション

詳細はこちらから

https://idec-fs.com/robotiq/solution/screw/

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