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特集 第2回
日本政府が掲げたロボット革命、規制緩和、ロボット産業の技術革新など、さまざまな好条件が重なり、いよいよ本格的な普及期に入った協働ロボット。この特集では、その推進の重要な一翼を担っている協働ロボットのさまざまなキープレーヤーにお話を伺い、今後の可能性について考察します。第2回は、産業ロボットの世界4強のひとつ、ドイツのKUKA。日本法人である KUKAロボティクスジャパン株式会社の星野泰宏 代表取締役社長です。
KUKAの創業は19世紀。まだロボットなど想像すらできない時代でした。
Q:最初に、KUKAとはどんな会社なのか、教えてください。
当社は歴史のある会社で、創業は1898年まで遡ることができます。二人の創業者、ケラーとクナッピヒにより、ドイツのアウグスブルグで始まりました。その頭文字をとって、ケラーウント クナッピヒ、アウグスブルグ。それでKUKAという会社名ができたのです。
1800年代の終わりといえば、当然ロボットなどあるわけがなく、事業はごみの収集車とかアセチレンのガスを使ったガス燈など、そうった技術を使って小さいながらやっていました。
それが1960年以降になりますと、ガス溶接やガスによる切断など、ガスを使った技術に移行していきました。そして1970年ぐらいから、ガスの技術とロボティクスに特化した会社にどんどん切り替わっていったのです。
KUKAの産業ロボットは長い歴史を持っています。産業ロボットの世界四強と称され、KUKAは総合的にポートフォリオを持っている企業です。
ガス溶接から溶接技術力を磨いていき、最初に自動車メーカーの自動溶接ラインにロボットを納入しました。それを機に自動車メーカーの製造ラインをどんどんロボット化し、ロボットの製造販売につなげていきました。
しかしながら、2000年くらいには、まだ社員500人規模の会社でした。それが2005年までの5年間に、6000人の企業に急成長を遂げました。自動化の波に押されてその需要、企業の規模も一気に拡大していったのです。
Q:KUKAの強みは、どんなところにあるのでしょうか?
技術的な部分、特にイノベーション技術を作るのが得意な会社です。いろんな産業ロボットメーカーがありますが、今ではこれができて当たり前という技術の中で、KUKAから先行して生まれている技術が多々あります。革新的な技術を持っているメーカーとして、世の中に広く知られています。
ご存知のとおり、ドイツといえば、インダストリー4.0です。当社はその中でワーキンググループ1、世界的な規格を決めているところに属し、リードアーキテクチャーのバイスチェアマンの立場でインダストリー4.0を牽引しています。
KUKAロボティクスジャパン株式会社 星野泰広代表取締役社長
Q:日本進出のきっかけは?
日本進出は、ロボットメーカーとしてはかなり後発になりますが、2007年です。進出の理由としては、輸入機で入ってくる数がかなり多くなったことが挙げられます。日本国内にサービス拠点がないとメーカーとしては厳しい状況になってきていました。またちょうどその頃、大手メーカーとのタイアップの話もありましたので、日本法人を開設することになったのです。
Q:日本市場をどのように見ていますか?
マーケットは非常に成熟していると思います。新しいメーカーが参入するのは非常に難しい状況です。しかし、それなりに新しい技術とアイデアを持ち込むことによって、今まで確立されていたものとはちょっと違ったところ、特にニッチなところでは、受け入れやすい土壌があるのではないでしょうか。それと、作業者、技術者のレベルが高いので、そうったところに合わせ混んで、 少し難しい技術でも簡単に受け入れられるのが日本市場の良いところです。他のアジアの国に比べてもそこは秀でています。
Q:アジア全体でみると、どうでしょう?
中国では、当然ながら、ものすごい勢いでシェア、納入台数を増やしています。製造工場もひとつではまかないきれなくなり、増産の体制を整えている状況です。中国での勢いに伴い、他のアジア諸国でも需要が伸びています、特に東南アジア。韓国、台湾はもともとロボットの納入台数が多い国であり、今後も顕著に伸びていくと予測しています。それと、もともとロボットが使われ ていなかったそれ以外の国でも需要が伸びています。