Co-bot frontline

協働ロボット・フロントライン

〜協働ロボットのキープレーヤーに聞く〜

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特集 第2回

KUKAロボティクスジャパン株式会社 星野泰広 代表取締役社長

KUKA

協働ロボットの開発も10年後20年後を見据えて。ベースは高い技術力。

Q:日本市場への協働ロボット投入は?

 当社の協働ロボットを日本で初めて紹介したのは2009年。LBR iiwaになる前のプロトタイプ をiREX2009(2009年国際ロボット展)同時並行で、お台場にあったショールームでジャーナリストの皆様に見てもらったのが最初です。

2009年は、まだ労働衛生規則が変更されておらず、ほとんどのメーカーが協働ロボットを出していない時。安全ロボット、協働ロボットという概念自体が全く認識されていない状態でしたので、見せても「これ何につかえるんだ?」「どういう時に使えるんだ?」そんな戸惑いが先行していました。それから時間を経て、今は急速に認知が高まっている状況です。

Q:KUKAの協働ロボット「LBRiiwa」の強みは?

 まず、7軸であること。7軸の協働ロボットは他にあまりありません。7軸だからこそ、狭いところで腕を折り畳み下に潜り込む、そういうような作業ができます。肘を上げ下げするような動きができますので、実際に協働作業をしていて、ツールの先端位置を変えずにじゃまになる場合は 腕の場所だけ、いくらでも自由に変えることが可能になります。そんな器用な使い方が7軸アームの優位点です。

 その上、7軸全てに非常に高精度なトルクセンサを埋め込んでおり、身体のどこを触っても、 ロボット自身が外から与えらえた力を検知できるのと同時に、ロボット自身で任意の力を発生させることもできるのです。

 たとえば、「どっちの方向に5ニュートンの力で押しながら走りなさい!」とか、凸凹のところでも、「一定方向に押し圧を10ニュートンで一定にしながらこっちの方向に進みなさい!」とか、こうした繊細な力制御を使い、器用な作業ができるところも大きな特徴ではないでしょうか。

 また、安全面でいうと、感度を任意に設定できるので、大げさに聞こえるかもしれませんが、 ロボットが動いている時、小指の先でちょんと触れただけで止まることも、設定自体で可能になっています。センサから出る力の感度だけではなく、リアルタイムで位置、速度、力を同時に見ているため、何十万通りとある組み合わせの中から任意の組み合わせを設定でき、最大64通りの安全モニタリングを同時に設定することが可能となっています。

 あと、LBRiiwaには2種類、7kgと14kg可搬があります。現在、14kgのものが持てるロボットは他メーカーではあまり見当たりません。しかも、それに加え繊細な力の制御ができる。となると、かなり面白い意味での新しいアプリケーションを作ることが可能になると、我々は考えています。

 LBRiiwaはプログラミング言語がIT言語のJavaになっていますので、完全にこれから先を見据えたコンセプトになっています。インダストリー4.0の大きなキーワードになってくるHRC (human-robot-collaboration)ですが、それを実現するためには、これから先、各メーカー同士のPLC、ロボット、その他機械や装置が同じ言葉でしゃべらないとMtoMは実現できません。 Javaのような共通のIT言語をユニバーサルランゲージとして、もし使っていくのであれば、お互いのコミュニケーションもより容易になるのではないでしょうか。そういった10年先20年先を見据えて開発しているといったところも、我々の大きなアドバンテージだと思います。

KUKA本社(ドイツ)

KUKA 本社(ドイツ)

Q:LBRiiwaの導入先はどんなところになりますか。

 導入先はさまざまです。自動車メーカー、自動車部品メーカー、一般の製造業など。たとえば 柔らかいものを挿入する、ゴムを挿入する、航空宇宙関係、いろいろなところで使われています。

 エンターテイメント業界でこんなニーズがありました。テレビコマーシャルを撮影する会社の導入例です。ミルクが上から落ちる瞬間にできる、いわゆるミルククラウンを撮影する時、ハイスピー ドカメラを使いますが、従来は撮影するのに1週間くらいかかっていたそうです。それがKUKA のロボットを使えば、ダイレクトティーチングで教えると、何回でも同じ作業ができます。それまで10人のクルーで1週間かかっていた撮影が、たった2人で半日で終わるようになった。そんな面白い使い方もあります。

 今はユーチューブがあるので、こういった映像を載せると、これをやりたいという問い合わせが入ってきます。こういったものがもたらす新しいビジネス体系が広まっていきます。また、SIerが 購入してサービスだけを提供していくということも考えられます。数社のカメラメーカーとタイアップして展示会に出した例もあります。そういった意味では新しいアプリケーションを作っていく には、最適なロボットではなのではないでしょうか。

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