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特集 第7回
日本政府が掲げたロボット革命、規制緩和、ロボット産業の技術革新など、さまざまな好条件が重なり、いよいよ本格的な普及期に入った協働ロボット。この特集では、その推進の重要な一翼を担っている協働ロボットのさまざまなキープレーヤーにお話を伺い、今後の可能性について考察します。第7回は中国発、新興協働ロボットメーカーとして脚光を浴び、2023年5月に日本法人を立ち上げたばかりのJAKA Robotics Japan株式会社 部長Yanqi Wang様です。
上海交通大学の研究チームが協働ロボットJAKAのルーツ。
Wang様、本日はありがとうございます。
Q:はじめに、JAKAとはどんな会社なのか、教えてください。
JAKAは、もともと上海交通大学の中にロボット研究チームがあり、そこから独立して立ち上げた企業です。
その昔、中国国内に863計画(中華人民共和国の技術高度化計画のことで、1986年の3月に発表されたことがその名称の由来)がありました。その計画の一環として、1970年代から中国内のロボット開発研究のチームが国策で立ち上がったのです。上海交通大学もそのタイミングでロボットの研究開発に取り組み始めています。
JAKAの法人としての立ち上げは2014年です。2015年から協働ロボットの研究開発を始めました。 そして、2016年に一台目の協働ロボットを市場に送り出しました。主力製品であるZuシリーズです。JAKA社の理念は「ロボットにより人の両手を解放する」ですが、その理念に基づき今日まで、中国国内で約20種類の製品を開発しています。
Q:Wang様のこれまでの経歴を教えてください。
私は、2014年から2016年の間、中国内で三星電子の関係の工場の自動化に携わりました。 主に携帯の中の細かい部品の生産加工を自動化するエンジニアです。
その後、2016年から2018年の約3年間は、中国内のもう一社、協働ロボットの大手メーカーで勤めていました。こちらでは主に技術サポートのエンジニアとしての業務です。
JAKA社に入社したのは、2018年2月。中国国内の技術サポートのマネージャーとして入社しました。
JAKA Robotics Japan株式会社 Yanqi Wang氏
Q:JAKAではどのような業務を担当されているのでしょうか。
2018年にJAKAへ入社してからの現地での仕事内容は、大きく二つに分けられます。
ひとつは、エンドユーザーとの直接のやり取り、特に現地のトヨタ関係のお客様への販売と技術サポート。もう一つは社内の技術サポートです。サポート体制の作り方とか新入社員の教育とか、そちらの方も力を入れてやっていました。
2019年から2021年の間で、さきほど申し上げたように、JAKA社内で特に大手のお客様のフォロー、業種で言えば自動車産業、三星電子関係で半導体、あと飲食関係、いずれも業種の中の大手企業を担当しています。
社内の技術サポートに関連して私がもうひとつ申し上げたいことがあります。社内の技術サポートの組織は私が入社した当時は5人の小さな部署でした。それが、私が入社して以降はどんどん拡大し、今では50人規模の大きさになっていることです。10倍です。
2022年からは仕事の内容が少し変わりました。中国国内の市場開発、中国内の拡販に力を入れさせてもらいました。中国国内は広いため、JAKAはエリアを東西南北に分け、私は北地区の責任者としてやっています。
Q:「両手を解放する」という御社の企業理念に対して、もう少し捕捉することがありましたらお聞かせください。
私たちJAKAの考え方は、お客様の要求、ニーズが第一です。できる限りの満足をお客様に提供することを目指しています。皆様にはそもそもロボットは高いというイメージがあるかと思いますが、JAKAは家庭でいえばドライバーのような存在、身近な工具として気軽に使って頂きたいと考えています。もちろん、身近さを作るためには低価格であることが大前提です。