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協働ロボット・フロントライン

〜協働ロボットのキープレーヤーに聞く〜

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特集 第1回

ユニバーサルロボット 山根剛 ゼネラルマネージャー

 日本政府が掲げたロボット革命、規制緩和、ロボット産業の技術革新など、さまざまな好条件が重なり、いよいよ本格的な普及期に入った協働ロボット。この特集では、その推進の重要な一翼を担っている協働ロボットのさまざまなキープレーヤーにお話を伺い、今後の可能性について考察します。第1回は、協働ロボットの先駆的存在であるユニバーサルロボットの日本支社山根 ゼネラルマネージャーです。

ユニバーサルロボット

従来のロボットの価値観を180度変えることからスタートしました。

Q:最初に、創業から今日までの歩みについて教えてください。

 ユニバーサルロボット社は、デンマーク・オーデンセにある南デンマーク大学に在籍した3人が始めたスタートアップ企業です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、オーデンセはアンデルセン童話で有名な都市で、日本人が観光で訪れる博物館もあります。

 3人は、食品業界でロボットがどのような形で使われているか、ロボットによる製造現場の自動化も含め調査・分析しました。

 そこからわかったことは、当時ロボットを使うためには柵が必要で、しかもロボットは常駐機。視察した工場では、ロボットは自動化され、すべて柵に囲まれた中で動いていました。しかも大きなロボットばかりです。ロボットによる自動化が進んでいた自動車業界と違い、中小の食品業界では自動化できる要素が少ない。ここに食品業界におけるロボットの新たなマーケットがあるのではないか?それが3人の最初の気づきでした。

 3人は、2005年に会社を設立します。資金は政府のキャピタル等の支援を受けました。これまでのロボットは、いわゆる産業ロボットで、わかりやすくいうと「重い。でかい。値段が高い。広いスペースが必要。柵の中にあり人が入れない…」です。この価値観を180度変えること。それが3人のミッションでした。

 そもそもロボット自体のプログラミングが大変な時代、工程がよく変わる食品業界で、どこまでそのハードルを下げることができるか。どれだけ簡単にできるかが、3人が取り組んだ課題です。

 今までのロボットで求められていたのは、人よりも生産性が高いことです。当時、すべての基準はそこにあったわけですが、3人は違いました。どうしたら人がやっていることの代わりができるか。人の横で人の手助けをする。そのために人と同じ動きができること。我々はマニピュレーションと言っていますが、ロボットがどれだけ人に近い動きができるかが鍵だったのです。

 もちろん安全でなければなりません。柵の中で使うのであれば、ロボットは人の横にいるわけですから、危険を察知したときに安全に止まることができなければ始まりません。そして、ある一定以上の速度、力が出ないように安全を確保する必要があります。
 
 したがって、「安全で協働であること」「プログラミングが簡単であること」「軽量であること」「どこでも持ち運べること」…それを開発コンセプトとしたのです。

 スタートアップから3年、試行錯誤の末、やっとのことで製品を市場に送り出すことができました。それが我々の第一号製品、UR5(可搬重量:5kg)です。その後、2012年にはUR10(可搬重量:10kg)、2015年にはUR3(可搬重量:3kg)と順調に製品を世に送り出し、今日に至っています。

ユニバーサルロボット 山根剛ゼネラルマネージャー

ユニバーサルロボット 山根剛 ゼネラルマネージャー

Q:ユニバーサルロボットの特長・強みは何でしょう?

 我々の製品にとって、いちばん象徴的なことは、はじめての製品をリリースした時から今日まで一度もデザインを変えていないことです。それだけでなく、安全に対する考え方、ブランディング、すべてに一貫しています。最初に思い描いた思想、価値観が我々のすべてなのです。今、世界の協働ロボット市場において、ユニバーサルロボットがシェア50%を獲得することができているのもその原点があったからだと考えています。

 しかし今でこそ、確固たるポジションを獲得したユニバーサルロボットですが、開発当初の周りの感想は、ひと言でいうと「こんなのが売れるの?」。さらに、当時は産業ロボットの規格がすべてで、「そもそもこんなロボットを出して良いのか?」でした。


 国際規格であるISO10218-1は大きな産業用ロボットを対象にしており、協働ロボットに関して全て明確、もしくは適用可能にはならないためです。しかし私たちは、当時他のロボットがどこもやっていないことをやろう、規格はきっと後から追いついてくる、そんな信念のもと、今日まで取り組んできましたが、実際にISO10218-1に記載されている機能の明確化と技術仕様に関しては、ISO/TS15066という表題の下で、2016年2月15日になって公布されるまでになりました。
 

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